小柄で可愛らしく、上品な色合いも人気の文鳥。
ペットショップなどで見かけることも多く、飼い鳥としてはメジャーな分類になりますが、実は意外と歴史が古く、ちゃんとした名前の由来もあります。
今回はそんな文鳥の歴史を覗いてみましょう、もっと文鳥のことが愛おしく見えるかも知れませんよ。
文鳥の歴史
文鳥はインドネシア原産の鳥で、おそらく中国を経由して日本に輸入されたと考えられています。
初めて輸入された時期は定かではありませんが、江戸時代には日本国内で飼育されるスタイルが定着したとされており(※参考1)その時代に描かれた絵なども残っています。
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渡来した当初は貴重な鳥だった文鳥ですが、やがて国内で繁殖されるようになり、身近な飼い鳥となってゆきます。
1970年代にはあまりにも増えすぎたため、稲の害鳥として駆除され生息数が激減。
現在はワシントン条約によって厳しく管理され、日本国内への輸入も禁止されています。
文鳥は昔、観賞用だった?
江戸時代の人たちは文鳥を「観鳥(みどり)」と呼び、観賞用の鳥として珍重していました。
インコやオウムのようなカラフルさはないですが、上品で落ち着いた色合いは日本人好みだったのでしょう。
観賞用とはいえ、文鳥が大胆で人懐っこい事は当時から知られていたよう。
江戸時代にはすでに文鳥を挿し餌で育てていたと言う記録もあり、人の手を怖がらずよく懐く鳥として、当時から現在まで独自の地位を築いてきたのです。
きっとご先祖様たちも、観賞用と言いつつ手に乗せたりして戯れていたに違いありませんよね。
文鳥の名前の由来
1967年6月に刊行された本草学者・人見必大(ひとみ ひつだい)の書物「本朝食鑑」には、日本で最も古い文鳥の記事が記載されており、文鳥の名前の由来について「形麗なるを以って文鳥と号す」とあるそう。
「文」には綾織物の「綾」と同じ意味があるので、文鳥とは「(綾のように)美しい鳥」と言う意味だそうです。
あやが模様・色合いを指す、つまり「模様や色合いが美しい鳥」と言う説もあり、上品なカラーや桜文鳥などの模様が美しいと捉えられていた事は間違いなさそうです。
中国では「文鳥」は文鳥ではない?
中国では「文鳥」と言うとキンパラ属の鳥全体を指します。
私たちの「文鳥」はもかつてはキンパラ属に分類されていましたが、現在は独立し「ブンチョウ属」として扱われています。
1764年に発行された飼育書「百舌鳥」には、現在のブンチョウと同じ特徴を持った鳥が「文鳥」として紹介されていますので、日本ではおそらく最初に入ってきた時から「文鳥」と言う固有名詞だったのではと考えられています。
ちなみに中国では文鳥のことを「ジャワスズメ」と呼ぶそうですよ。
文鳥の英名
文鳥の英名は Java sparrow、学名は Padda oryzivora と言います。
Java sparrowとは「ジャワ島のスズメ」と言う意味。
このサイトもそうですが、グッズなどでよく見かける「buncho」は単なるローマ字表記なので間違えないようにして下さいね。
文鳥のまち・弥富市の歴史と現在
愛知県弥富市は「文鳥のまち」として知られています。
弥富の文鳥飼育の始まりは、江戸時代の終わりに弥富の又八地区に嫁入りしてきた八重という女性が、それまで奉公していた名古屋の武家屋敷から桜文鳥をもらってきたことといわれています。
それ以来、弥富では農家の副業として文鳥飼育が続けられてきました。(中略)
文鳥生産は戦後にさらに盛んになり、昭和50年代に最盛期を迎えました。当時の弥富文鳥組合員の戸数は200戸以上で、全国シェアの8割を担ったといわれています。
しかし、外国産の安い文鳥の流入や人々の娯楽の多様化などにより、近年飼育軒数は減少を続けています。
弥富市HP
文鳥が渡来してから、長く文鳥の飼育・繁殖を担っていた弥富市ですが、現在は飼育しているのは数件とも言われています。
歴史民俗資料館では、文鳥農家(ブリーダー)の仕事の様子の映像や、昔の飼育道具などを見学でき、2018年からは白文鳥の「ぶんちゃん」が飼育されており、館内で触れ合え”おもてなし文鳥職員”と呼ばれて親しまれているそう。
有名な文鳥電話ボックスもあり、現在までの日本での文鳥の歴史とは切り離せない町です。
何とか活気を取り戻してほしいと願っています。
文鳥の歴史や名前の由来、いかがでしたか?
意外と古くから日本に居て飼い鳥として親しまれていたと思うと、何だか嬉しくなりますよね。
出かけられる機会があれば、ぜひ弥富市にも足を運んで、文鳥の歴史を体感してみて下さいね。
※参考1 現代日本文化としての「鳥と人間の関係」に関する一考察
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