愛鳥が歳を重ねて老化が見え始めたら、まずどうしますか?
ケージのレイアウトを変更する・食事内容を見直す・かかりつけの病院に相談に行く…
こうした方が暮らしやすいかな?これで大丈夫かなと色々考えたり環境を変えたりすると思いますが、彼らは本当はどうして欲しいと思っていて、どんな環境が暮らしやすいのでしょうか?
そんな事も考えつつ、老鳥との暮らしのヒントを見つけていきましょう。
本当は今までと同じ環境で暮らしたい
文鳥は賢く、頑固です。鳥全般に言える事ですが 意図しない変化を嫌うことが多く、若い頃と同じように動けなくなったとしても「できるならこれまでとあまり変わらない生活がしたい」と望んでいる場合が多いようです。
病気や急を要する容体の時はすぐに対応しなければいけませんが、老化の場合今日1だったものが明日100になるのではなく、1.2.3…と日々進んで行きますので、焦らずその子の状態を見つつ、どういう環境がいいのか・何が必要なのかなどを考えていきましょう。
ですから、老化が見え始めたからと言って急にケージのレイアウトを大幅に変更したり、物を足したり減らしたりせず、愛鳥の気持ちに寄り添ってあげる事も大切です。
きっと今まで大切に一緒に暮らしてきた飼い主さんなら、どうして欲しいのか・どう思っているのか、伝わってくる部分がありますよ。
老化が見え始めた時、考えるべき5つのこと
老化が見え始めたらまず、今まで通りではなくちょっと見直したい項目を5つ紹介します。
①保温
文鳥は健康な成長の場合、20〜25℃程度が適温と言われていますが、歳を重ねるとこの範囲内でも体調を崩してしまうことがあります。
寒い日や朝晩の温度差で調子が悪くなったり、逆に暑い日にうまく体温を下げられないことも。
寒そう・体調が良くなさそうに見えたら、28℃〜30℃程度、つまり雛と同じような温度にして様子を見ましょう。
また、出来れば一定の温度を保ち、ケージ内全体が暖かい方が理想的。保温電球は付近は暖かくなりますが少し離れると一気に温度が下がるので、補助として面で暖められるヒーターがおすすめ。
ケージカバーやサーモスタットと併用して、快適な温度・湿度を探してあげましょう。
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②ケージのセッティング
文鳥にとっての部屋であるケージ、なるべく慣れた元のままで暮らさせてあげたいですが、視力が落ちてきた・止まり木から落ちたり移動が大変そうになってきた・ケージの上の方にいることが無くなった などの様子が見られたら、ケージのレイアウトを見直してみましょう。
止まり木の位置を下げたり高低差を減らしたり、ステージを追加するなどして休める場所を作ったり、今までより小さなケージに引っ越したりして、なるべく楽に移動できて過ごしやすいように工夫してあげましょう。
また、食欲が落ちてきた鳥には餌入れを1つではなく何個か設置してあげる事も有効。動くことがしんどくなったり 食欲があまり無くても、目に入るところに餌があれば食べてみようかなという気になるものなのです。
視力が落ちてきた場合レイアウト変更は慎重に
鳥は視力が落ちてきても、餌入れや水入れ・止まり木の場所や距離感を覚えているため、勘を頼りに移動する場合があります。
その場合急にレイアウトが変更されると、いつもの場所に餌入れがないから食べられない・いつもの止まり木に飛び移ろうと思ったら無くて落下…ということもあるので、視力が落ちてきている・見えていないのかな?と思われる子の場合、レイアウト変更は様子を見ながら慎重に行ってくださいね。
③食事内容
基本はこれまでと同じ、今まで与えていた物を食べさせてあげます。
ペレットの方が消化しやすく負担が少ないと言われていますが、例えば老化が7歳で見られたとして、7年間ずっとシードを食べていた子を急にペレット主食にすることは難しい場合があります。
シードの方が美味しくて好きな鳥が多いですし、そもそも食べ物として認識しないことも。
ですから基本的には今までと同じ物を与えることになるのですが、こういった老化や病気の際のことも考えて、ペレットに慣らしておくのも手です。
また、ボレー粉を自然界の小石代わりに多めに飲み込んでいる子もいるため(食べた物をすり潰すため)必要以上にため込ませないように、歳を重ねてきたらボレー粉はやめてカルトボーンなどの柔らかいものにしましょう。
文鳥の場合カルトボーンを食べないこともあると思いますので、カルシウムパウダーでもいいですね。
④放鳥
放鳥前に危ないものがないかチェックしておく・放鳥時目を離さないなど、基本的な注意点をよりいっそう意識して放鳥してあげましょう。
思うように動けなかったり想像と違う動きを体がしたりして、今まで行かなかった場所に行ったり、思わぬところに着地してしまうこともあります。
また、ケージ内の温度に比べ室温がかなり低いと体調を崩しやすくなるので、放鳥時には部屋の温度にも気を配りましょう。
ただ、触れ合いの時間はとても大切なので、危なくない範囲で放鳥してあげ、手に乗せたり近くにいて話しかけたり 撫でたりしてあげましょう。
例え視力が落ちても、耳は聞こえていますので、優しく話しかけて安心させてあげてくださいね。
⑤他の鳥との関係
老化が見え始めた子の場合、1羽なら問題なく見えてもやんちゃな文鳥や若い文鳥といると疲れが見える場合もあります。
ケンカや仲が悪いと言うわけではない場合でも、老鳥が疲れているようなら触れ合いは短時間で切り上げましょう。
飼い主が気にかけている様子を見て、他の子が良く思わず攻撃されることも。この場合は接触は避けた方が無難です。
ペアでどちらかが先に老化した場合、暮らしやすいよう多少配置などを変えても、できれば一緒に居る方がGOOD。
元気な方が相手を気遣ったり、一緒にいることで安心したり元気をもらえたり…病気やどうしても一緒に暮らせないようにならない限りは引き離さないであげましょう。
焦らず愛鳥の気持ちに寄り添って
大切なうちの子だから、今すぐに少しでも快適な環境に変えてあげたい…!
そうして試行錯誤する飼い主さんの気持ちは痛いほど分かりますが、急に大幅に環境を変えられたり・何度もレイアウトを変更されたりすると、文鳥側も落ち着きません。
先にも書きましたが、老化は今日レベル1だったものが明日レベル100にはなりません。
ですから、焦る気持ちをぐっと押さえ、愛鳥の様子をよく観察して触れ合ったりしながらどんな環境がいいか考え、必要な物を揃えたり環境を少しづつ変えていきましょう。
ずっと同じ環境で生活させてあげられればいいのですが、長く生きればきっと環境を見直さなければならない時がきます。
何がベストかは1羽1羽違うので、うちの子と向き合いつつゆっくり答えを見つけていきましょう。
きっと今まで大切に一緒に過ごしてきた飼い主さんなら、その子にとって幸せな環境を用意してあげられますよ。
参考書籍