歳を重ねて何かしらの変化があったり、今までと同じような動作ができなくなったりした時に、鳥たちはどのように感じているのでしょうか。
何かが違うと、老化だと気付いているのでしょうか。
愛鳥の気持ちを完璧に理解することは出来ないかもしれませんが、出来るだけ寄り添って不安の少ない生活をさせてあげられるよう、老いた鳥が感じること・望むこととはどんなものかを考えてみましょう。
鳥が感じる老化の4段回
老化と言っても、老化が見え始めてすぐと終局とでは、体の状態も心の在り方もすいぶん違います。
ですので、4段回に分けて鳥の気持ちや接し方を考えてみましょう。
①老化が無感覚で進む時期
ある程度歳を重ね、羽毛の艶が悪くなったり換羽が長引いたり・はばきが目立つようになったりと、飼い主から見て老化かな?と思うようなことがあっても、まだこの段階では本人は何も気にしていません。
羽の艶が無くなっても痛くも痒くもありませんし、換羽が長引いてもなんだか気持ち悪いなと思う程度で、気持ちの上で変化があったり不安を感じたりすることはなく、これまでと変わらない毎日を過ごします。
もちろん、外見的な変化が現れない場合もあり その場合はまだ飼い主も老化が始まったと気付きませんので、この段階では今までと変わりない生活を送ることができます。
②老化を自覚し始めるころ
目が見えにくくなったり、飛びにくい・足の動きが悪いなど、明らかにこれまでと違う不具合が出てきた場合、鳥もそれに気付き、いつもと同じようにできないことに弱冠の不安や苛立ちを感じ始めます。
若い頃にも一時的に具合が悪くなることはありますが、一晩寝たり数日経てば治って忘れていたはずなのにいつまでも続く…そうなると、心の底に小さな不安が生まれます。
老化という言葉は知らなくても「今までとは何かが違うらしい」と自覚し始める頃です。
ですがまだこの時期、鳥の意識自体に大きな変化はなく、今まで通りの楽しい毎日を過ごしたいと思っています。
飼い主の方で色々気付き始め、今までできていたことが出来なくなっていてショックを受けたりもするかも知れませんが、出来るだけ不安を前に出さず今まで通りに接してあげ、少しずつこれからの準備を始めましょう。
③老化に馴染み・順応していく時期
鳥は生きるために順応し、無駄に悩むことをしません。出てきた体の不具合にも順応しながら、できる範囲で今までと同じ生活をしようとします。
飼い主側はこれからどうしよう、もっと悪くなったら…と不安ばかりが募る時期かも知れませんが、当の鳥たちはそのような考えは持たず「今この状況にどのように順応するか」だけを考えているようです。
ケージのセッティングや放鳥・他の鳥との交流など状況に合わせて変化が必要になってきますが、鳥たちはこれまで通りの生活を希望しますし、そうしてあげる方が心も落ち着きます。
ですのでその子の体調や状態を考慮しつつも、遊べる時は遊んであげ・抱っこして撫でてあげたり、答えられる要望には答えてあげましょう。
そうして変わらない愛情を注いでもらうと、心の底に生まれた小さな不安も和らげてあげることが出来ます。
④最後が見え始めたころ〜
体に負担がかかるようになり不自由なことが増えてくると、鳥たちは今まで以上に愛情を求めるようになりますので、出来る限りは要望に答えてあげてください。
好きな相手ともっと遊びたい・一緒にいたい・撫でてもらいたい…いつものように楽しい時間を過ごしたい。
しんどさや苦しさがある中でも、鳥たちはそんな気持ちを持ち続けていますので、可能な限り最後までそばにいて、体温や存在を感じさせてあげましょう。
たとえ目が見えなくなっても存在は感じますし、耳は最後まで聞こえていますので、いつもと変わらず声をかけてあげてください。
すべての老鳥が願うことは、最後まで変わらず愛し続けてほしいということ。
飼い主の不安や悲しい気持ちはそっと胸にしまって、今まで以上に甘えさせてあげたり、感謝の言葉や大好きという気持ちをしっかりと伝えてあげるようにしましょう。
幸せな老後を過ごせるかどうかは飼い主次第
飼い鳥が幸せな老後を過ごせるかどうかは、飼い主にかかっています。特別気負うことはありませんが、少し知識をつけて心の準備をしておくと、愛鳥が幸せな老後を過ごせる可能性が高まります。
また、飼い主の心が安定していることも大切。
鳥はとても賢く共感力を持つ生き物なので、飼い主の不安や悲しみを自分のことのように感じ取り不安になってしまいます。
飼い主の気持ちが上を向いていると鳥たちも同じように前向きな気持ちで居られるので、必要以上に先を悩んだり不安になったりせず、今できることをしてあげて触れ合いを楽しみ、愛鳥の心を落ち着かせてあげましょう。
長く生きてくれたからこそ避けられない老化。
愛鳥の変化に不安になったり涙することもあると思いますが、本人がそれを受け入れ順応するように、飼い主側も悲観しすぎず今を大切に過ごしてあげてください。
たくさん遊んでたくさん好きと伝えて、感謝の気持ちも忘れずに。
文鳥はもちろん、鳥は非常に愛情深く賢いため、きっと飼い主さんの思いは伝わっていますよ。
参考書籍